“音楽仲間と日中関係”……谷村新司が語る

発信時間:2012年10月19日16時58分    金曜日

岩崎宏美ら音楽仲間とメモリアルなアルバムを作った谷村新司

シンガー・ソングライターの谷村新司(63)がアーティスト活動40周年特別企画として、アルバム『NINE』を発売した。野球チームにちなんだ タイトルで、参加した谷村の音楽仲間たちは、堀内孝雄、岩崎宏美、石井竜也、平原綾香、夏木マリ、押尾コータロー、加山雄三、一青窈、高見沢俊彦の9人。 それに特別ゲストに天海祐希を迎えて、谷村にしかできない豪華な作品に仕上がっている。きっかけを谷村が説明する。

「東日本大震災の 後、故郷が被災した石井竜也さんが辛い胸の内を打ち明けてくれました。で、子供たちを応援する歌を一緒に作ろうよ、って作ったのがこのアルバムに入ってい る『オリハルコン』という曲です。僕はケルト・アイリッシュのアイルランド系の音に作ったんですけど、石井さんの方はわりとプログレのロックふうな作り で、ひとつの曲でこんなに解釈が違ってやるのって面白いと思って…」

そこで、40年間の縁のある人たちと1曲ずつ心をこめてコラボレーションできたらと、「一緒にやらない?」と声をかけ始めたそうだ。

盟友の堀内とはデュエット曲「スウィーツ」が生まれた。

「僕にとっては音楽の初恋の人とも言える堀内孝雄。2人が曲を作る時はいつもアリスの曲を作っていたんだけど、お互いがソロになってからは初めて。お互いの40年間に“ありがとう”の想いをこめて、堀内孝雄と谷村新司で作りました」

岩崎とは、美容院で一緒になった時に「私って谷村さんに曲書いてもらっていないのよね」と言われて、「じゃ、今度書くから一緒に歌おうよ」と。彼女が歌うのをイメージして書いたのが「ラストローズ(名残のバラ)」という曲だ。

参加アーティストは谷村にとってかけがえのない存在の人たちばかり。アリスでナンバーワンを極めた谷村は、ソロとしてはオンリーワンの世界を確立。そして今、素敵なナインと〈チームTANIMURA〉を結成して「和を似て貴しとなす」を実践している。

そんな和を尊ぶ谷村だけに悪化した日中関係には胸を痛めてはいるが、悲観はしていない。

「国と国とが本気でケンカしてこなかった。しかし、今回何を言ったら相手が傷つくか、何を言われたら心が痛むのか、がわかるようになった。ケンカは仲直りするためのきっかけでもあるんです。その意味では対話が大切です」

1981年にアリスのメンバーとして北京で単独公演をして以来、彼は日中の懸け橋的ミュージシャンとして活動を続けている。だからこそ、「政治や経済が駄目になっても、最後の砦は文化だと思っている」という谷村の言葉は重い。(音楽評論家・富澤一誠)

 

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